目標習得時間:1時間 問題数:3問
■確率とは「求める場合の数/すべての場合の数」
場合の数同様、確率も公式を覚えていれば何となく解けてしまうため、問題が少し難しくなるだけで太刀打ちできない、という人が多い分野だと思います。
場合の数において「全て数え上げる」が基本であったように、確率でもベースとなる考え方を持っておくことが重要です。それは、確率の定義である以下です。
これは当たり前のようでありながら、確率を苦手としている人ほど意識できていないと感じます。つまり重要なことは、確率は独立した単元ではなく、場合の数の応用問題と考えるべきだ、ということです。
■確率の習得は3段階のステップ
逆の考え方をすれば、場合の数を習得した上でこの確率の定義だけ理解すれば、確率の問題はすべて解けてしまうのですが、丁寧に理解するため、ここでは3段階のステップを踏みたいと思います。
- 試行が1回
- 試行が2回
- 試行が3回以上
それでは、順番に例題を提示します。
■確率=求める場合の数/すべての場合の数
問1 1~9までの数字が書かれたカードから4枚を順に引いて4桁の整数を作るとき、奇数になる確率を求めよ。
確率の定義に従います。つまり、
- 全ての場合の数:カードの並べ方の総数
- 求める場合の数:奇数になる並べ方の数
という2つの場合の数を求めて割り算します。
もし上記計算が難しいと感じたら、場合の数を復習しておきましょう。
実はこの問題は、1の位に奇数を引く確率が5/9、ということに気が付けば計算する必要もないのですが、人の並べ方の問題になったとき、くじ引きの問題になったときに全く応用が利かないので、初学者にとっては完全な悪手と言えます。一方、確率の定義に従った計算方法を覚えておけば、場合の数の演習さえすれば確率の成績も上がります。
■複数回の試行は、「確率の順列・組合せ」と考える
問2 1~9までの数字が書かれたカードから4枚を順に引いて4桁の整数を作る試行を2回繰り返すとき、1回目が偶数、2回目が奇数となる確率を求めよ。
もちろん確率の定義に従って「求める場合の数/すべての場合の数」と計算しても構いませんが、互いに全く影響しない試行を繰り返す場合、それぞれの確率を求めて、それらを順列・組合せの問題のように並べて掛け算する、ということができます。
2つの確率を掛け算する、という点は感覚的にも分かりやすいので問題ないと思いますが、「順列・組合せのように」考える部分に少し違和感を感じるかもしれません。確かに本問でここまで考える必要はないのですが、次の問題でその意味を理解していただけるはずです。
問3 1~9までの数字が書かれたカードから4枚を順に引いて4桁の整数を作る試行を5回繰り返すとき、奇数が3回出る確率を求めよ。
このように、試行が3回以上になるシーンにおいて、確率を「順列・組合せのように」考えると効果的です。これは、説明するよりも解法を見た方が分かると思います。
このように、複数回試行を繰り返す問題は、まず個別の確率を求めた上で「何回目でその事象が起こるのか」を考える順列・組合せの問題につながってきます。最終的に、問1を経由せずに問3を解き切ることができれば、確率単元は十分理解できたと言えるでしょう。
■確率の成績を上げるコツは場合の数を演習すること
確率を場合の数の応用問題と考えれば、基礎レベルの確率の問題として習得すべきは上記の問3だけ、と言ってよいでしょう。とにかく確率習得の秘訣は、小手先のテクニックを身に着けるよりも、場合の数をたくさん演習することです。
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