外資系コンサルタントが主夫になったら

主夫、はじめました。興味のあることをとことん研究します。勉強法、テクノロジーなど

場合の数・順列は2時間で解けるようになる

目標習得時間:2時間、問題数:7問

 

■数学が好きか嫌いかの分かれ道

場合の数は、「並べ方」「組み合わせ」「同じものを含む」「区別する」といった曖昧な概念が登場することから、数学が嫌いになる落とし穴の一つです。

しかし、これらの曖昧な概念はいくつかの解法パターンに分類することが可能で、これを押さえておくだけでほとんどの問題をカバーすることができます。

今回はまず場合の数の基本と、順列の問題について、そのパターンを整理していきます。組合せについては、次回取り扱います。

 

◼️覚えるべき「公式」と「解法」

この単元には、PやCをはじめとする様々な公式があります。そんな中、学校で習う解法は「問題をいかにPやCの公式に当てはめるか」という考え方だと思いますが、実はこの単元は公式をそのまま適用できない問題がほとんどなのです。

したがって、公式に頼らず全て数え上げる、という考え方を持つ方が、この単元を攻略する近道になります。

<覚えるべき公式>

  • なし

 

<覚えるべき解法>

  • 原則は「全て数え上げる」こと。無理して公式に当てはめようとしない
  • 順列の解法は4種類。まずはどの解法に当てはまる問題なのかを考えることから始める
    f:id:shufu-gaishi:20180516165425j:plain

 

◼️基本は「全て数え上げる」こと 

 

問題を2つ解いて見ましょう。

問1:大小2個のサイコロの目の和が10になる場合は何通りあるか。

(難易度★)

PもCも使いません。表を書いて全パターンを洗い出します。 

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 答え 3通り

 

問2:みかん2個、りんご4個、いちご3個の中から6個を取り出す方法は何通りあるか。ただし、取り出されない果物があっても良い。

(難易度★)

抜け漏れがないよう、自分の中で条件を決めて少しずつ数えていく感覚を身に着けます。

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答 9通り

 

◼️100以上ありそう、となった時に初めて公式の適用を考える

問1、問2で習得すべきは、下手に公式の適用を考えるよりも全て数え上げたほうが早い、という感覚です。定期テストだろうと、東大の入試問題だろうと、まずは全部数えようとしてみる、これが結局答えまでの最短距離です。

しかし、多くの問題では答えが数え上げられるボリュームではありません。すなわち、数え上げを試行した上で、「100以上ありそうだな」となったときにはじめて公式の適用を考えます。

 

◼️順列の解法は4種類

場合の数の問題には大きく分けて順列と組み合わせがありますが、今回は順列を対象にします。

順列についてはまずPの計算を学んだ後で、人の並べ方、文字の並べ方、数字の並べ方…など様々なジャンルの問題を演習することと思いますが、習得の効率性を重視すると、以下のように学ぶのが最も効果的だと考えられます。

  • Pは使わない
  • 人、数字…という出題ジャンルではなく、4つの解法により問題を分類する

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 4つの解法を例題で一つずつ確認していきます。

 

1.条件なし

問3:男子4人、女子4人の中から3人を選んで1列に並べる方法は何通りあるか。

(難易度★)

まずは、全て洗い出す方法でチャレンジしてみてください。いつかできるはずですが、さすがにテスト時間内に洗い出すことができないボリュームだとわかるはずです。

そんなシーンにおいて、覚えた解法の適用を考えます。まずはこの標準形を理解します。

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答 336通り

 

この計算をf:id:shufu-gaishi:20180519151858p:plainと書きますが、これはあくまで表記のしかたの話であって、Pをつかったら順列を計算できるわけではないことに注意してください。つまり、Pを知らなくても答えは出せるのです。

 

まずは条件のないこの基本パターンを理解します。実際の問題は、ここに様々な条件が加わってきますが、それがパターン2~4の3パターンのどれかに当てはまります。

 

2.先に置く

問4:0〜9までの数字が書かれたカードから4枚のカードを使って4桁の整数を作るとき、奇数は何個作れるか。

(難易度★★)

問3はただ並べればよかったのに対し、この問題は奇数だけを数える必要があります。これが条件です。しかしこの問題では、それに加えて「千の位に0を置けない」という条件があることに気づけたでしょうか。このように、問題文に明示されていない暗黙の条件を読み取らなければいけないケースがあります。

 

実は、どんな問題でも必ず「全て数え上げる」ことを試す理由はここにあります。

例えば今回の問題で問題文だけから「千の位に0を置けない」という条件を読み取るのは難しいですが、サンプルでいくつか4桁の整数を作ってみれば、千の位に0を置けないことはすぐにわかるはずです。

すなわち、最初に「全て洗い出す」プロセスを強制することで、条件の見落としを防ぐ、という効果があるのです。 

 

条件の洗い出しができたら、厳しい方の条件から順番に決めていきます。 

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答 2240通り

 

なお、この問題で「千の位に0を置けない」という条件を先に考えると難しくなります。これはぜひ試してみてください。ただし、最悪全部数え上げる気持ちで挑めば解けないわけではないことも重要です。

どちらの条件を先に考えるか?というのはセンスの話なので、とりあえず試してみて、うまく解けなかったら考える順番を入れ替える、という余裕を持ちましょう。

 

3.まとめる

問5:男子4人、女子4人が1列に並ぶとき、女子4人が続いて並ぶ並び方は何通りあるか。

(難易度★★)

何かが必ず隣り合わせになるという場合はこのケースです。これは、隣り合わせになるものを一つのものとして考えます。つまり今回は、隣り合わせになった女子4人を1グループにして、男子4人+女子グループの、合計5人を並べる方法を数えます。

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答 2880通り 

 

この問題は、難しくなるとグループを複数作ったり、パターン2やパターン4との組み合わせになったりするケースがありますが、 隣合うものをグループにする、という考え方は変わりません。

 

4.間に入れる

問6:男子4人、女子4人が1列に並ぶ時、女子が隣合わない並び方は何通りあるか。

(難易度★★)

問5とは逆に、何かが必ず隣合わない場合があります。これは、「隣り合っても良い」方を先に置いて、「隣り合ってはいけない」ものをその隙間に入れていく、という方法をとります。

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答 2880通り 

 

◼️例外ケース「円順列」は、「先に置く」のケースだと覚えておく

まずは問3~6を繰り返し演習してこのパターンの感覚をつかみます。その結果、どの順列問題も条件の見つけ方や箱ごとのパターン計算に違いはあれど、大枠の考え方は全てこの4パターンで対応できることがわかると思います。

 

しかし、一つだけ、知らないと解けないタイプの問題があります。それが「円順列」です。

問7:男子4人、女子4人が円形のテーブルに座る時、女子が隣合わない並び方は何通りあるか。

(難易度★★★)

「円形の」と言われたら、「どれか一つを固定する」と覚えておきます。この意味は大して重要ではないので、「そういうもん」と思っておくか、気持ち悪い方は問題が解けるようになった後で参考書を読んでみてください。

また、今回のケースでは「隣合わない」という条件もあるので、結果的に

2. 先に置く

4. 間に入れる

の2ケースが混在することになります。

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◼️まとめ

結局場合の数とは、とにかく全部数え上げる→数が多い場合は覚えた解法に当てはめる、ということが基本です。その解法について、順列の問題では4種類の方法があります。円順列だけは特殊なケースなので、意味はともかく解法を覚えておくのが効率的でしょう。

 

いかがだったでしょうか。次回はもう一つの論点である組合せの考え方を整理していきます。 

 

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