目標習得時間:1時間、問題数:3問
複素数平面とは、複素数a+biの実部aをx座標、虚部bをy座標として平面上に点をプロットしたものです。ただでさえ意味のわからない「複素数」がさらに難解に、、、と思われがちですが、実はこの複素数平面というのは、高校数学の中で唯一複素数の面白さを味わえる単元なのです。
■複素数平面上では、「掛け算=回転」
まずは、本単元の暗記事項を提示します。
ここで、特に重要なのは2と3です。
まず2について。複素数平面上の複素数は、実部と虚部をそれぞれ三角関数を使って表すことが可能で、これを「極形式」と呼びます。
では、2つの複素数を極形式で表した状態で、これを掛け算するとどうなるでしょうか。
このように、極形式で表した2つの複素数を掛け算すると、両者の角が足された新たな極形式が現れます。このように、複素数平面上において、掛け算することは、回転することに該当します。
通常の座標平面と比べてみましょう。
実数の座標平面上で「掛け算する」という演算は「拡大/縮小」を意味していました。例えば、点(1,2)のx座標、y座標をそれぞれ2倍した(2,4)という点は、原点からの距離が2倍になっています。
これに対して、複素数平面上で2つの複素数を掛け算すると、点を回転させることができます。この原理を活用すれば、「平面上で図形を回転させたい」というシーンにおいて、元となる平面を複素数平面に置き換えれば、容易に回転の操作を行うことができます。これは、高校数学において複素数を学ぶ分かりやすい理由の一つだと思います。
問1
今後、複素数の問題は、極形式に変換することで考えやすくなるので、これはテクニックとして覚えておくとよいでしょう。特に、問題に「回転」という概念が含まれる場合は変換必須です。
極形式に変換すること、複素数の掛け算が回転を表すことさえ知っていればただの計算問題なので、難しくないと思います。
問2
これは「回転」とは書いていませんが、まずは何も考えず極形式に変換します。すると、「n乗」が「n回転」を表すことに気づけるはずです。
なお、この変換は「ド・モアブルの定理」と呼ばれる公式ですが、「掛け算=回転」を理解していれば、覚えるほどのものではありません。
■図形の扱い方には慣れが必要
実数の座標平面と同じく、複素数平面でも図形の方程式というものが存在します。前述の「4. 複素数平面上の図形」を確認してください。数式を言葉でイメージすることで図形の外観を理解できると思いますが、ここにどうしてもセンスが必要になってくるのが、やや難しいところです。
問3
たまに用いるズルい考え方ですが、教科書に載っているのは円と垂直二等分線の式だけなので、このどちらかに変形できる、という前提で考えましょう。
「絶対値をとる」というプロセスは、大抵の問題に通用すると思います。
なお、難関大の入試問題では最終的な式の形が「アポロニウスの円」など、応用的な図形に帰着するケースがあるので、ただ円と垂直二等分線の公式を覚えるだけでなく、「式を見てどんな図形か把握する」能力はいずれ必要になります。
■数IIIは、数IIBまでとは違った難しさ
数IIIは理系学生だけが勉強する単元であることから、数IIBまでと比較して概念の難しさが何段階か高まりますし、計算力よりもセンスが必要になってくるシーンも多くなります。
しかしその一方で、数学的な地頭が育っていれば、いくつかの公式を覚えるだけで教科書レベルはクリアできてしまう領域である、とも言えます。
もし難しいと感じる場合は、一度数IIBまでの単元に立ち戻って、基礎力をつけなおすとよいでしょう。
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