外資系コンサルタントが主夫になったら

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数列は2時間で解けるようになる

目標習得時間:2時間 問題数:5問

 

■何を覚えて、何を覚えないか

数列の難しさは、何といってもその公式の多さにあると思います。しかしこれは裏を返せば、「覚えておけば解ける」とも言えます。そこで今回は、思考のベースとなる公式を厳選し、その公式を使いこなすことですべての出題パターンに対応していく方法を考えます。

 ■覚えるべき公式・解法は9つ

まずは、以下を「覚えるもの」と定義します。

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これらをテストの土壇場でひらめくことはかなり難しいと思いますので、あらかじめ覚えておくことをお勧めします。他の単元と比較して覚えるボリュームは多くなりますが、これだけ覚えておけばほとんどの問題に対処できる、というメリットもあります。

ここからは、これらの公式・解法の使いどころを確認していきます。

 

■数列の和は、知っている公式の形になるよう変形

問1

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 これは、教科書では公式の一つとして提示している問題です。余裕があれば覚えても構いませんが、余分な頭のメモリを使うことを避けるため、また数列の計算力を養うためにも、等差数列の和は(3)の公式だけで導出できるようになっておくことが効率的です。

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このように、公式の数をたくさん覚えるよりも、問題を公式が使える形に変形するテクニックを身に着けておく方が応用が効きます。難しい公式をたくさん覚えるのは、この技術を十分身に着けた後にすべきでしょう。

 

■等差数列でも等比数列でもなければ階差数列

これは数学の先生に怒られる考え方かもしれませんが、高校で習う数列は等差数列、等比数列、階差数列の3種類しかないので、一般項を求めるときに等差でも等比でもない、となれば残りは階差数列しかありません。少しひねくれた発想ですが、テストで結果を出すためには「これしか出題されないはず」という前提は非常に有効です。

問2 以下の数列の一般項を求めよ

2, 4, 10, 28, …

等差でも等比でもないとなれば、階差数列を考えるしかありません。 また、その階差数列も、必ず等差数列か等比数列になっているはず、という前提を持つだけで、かなり考えやすくなるはずです。

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ここで、シグマ記号について補足しておきます。この記号が出てくるだけで難しい問題に見えてしまうことは間違いありませんが、そもそもシグマ記号というのは、何個あるかわからない和を表現するときに「…」を使うのが面倒だから導入しただけで、この記号が無くても実質的に困ることは何もありません。もしこの記号が難しいと感じるのであれば、まずシグマ記号を使わない形に問題を書き換えてから計算に取り掛かる、ということも可能です。

 

さて、たった2問ですが、この中に等差・等比数列の一般項とそれぞれの和、階差数列の考え方、シグマ記号が登場しており、かなり効率的に数列を学習できるのではないかと思います。

ここからは、数列の応用問題であり、かつ自力でこの解法にたどり着くことはほぼ不可能であろう、(7)-(9)を見ていきます。これらは、もはや解法丸暗記がベストな勉強法ですが、その中でもいかに応用の効く形で覚えるか、がポイントです。

 

■項数を削減する計算テクニック①:部分分数分解

問3 以下の和を計算せよ

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これは、部分分数分解と呼ばれる問題で、独特な形をしているので、見たらすぐにこれだとわかるものです。しかし、その解法が非常に難解で、数列の中では高度な問題の一つです。

さて、教科書で部分分数分解と言えば、

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という公式を当てはめていくのが一般的ですが、「kとk+1に分解」という前提になっていると、今回の問題のようなケースで確実に手が止まってしまいます。そこで、この公式を覚えるのではなく「分数は分解できる」という事実とその計算方法だけを覚えておく、という作戦を強く勧めます。

今回の問題では、以下のように考えます。

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この「やり方」さえ覚えておけば、どんな分数でも、どんな形にでも分解可能です。 さらに、一度やったことがあれば非常に簡単な計算なので、一気にこの問題をボーナス問題にすることができます。それでは、問題の続きを計算しましょう。

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さて、そもそもの話ですが「なぜ部分分数分解するのか?」ということを知っておく必要があります。それは上記のように、式の項数を一気に削減できるからです。これは難関大学の入試問題において他ジャンルの問題の中で何気なく必要になる計算テクニックであり、使いこなせるようになっておくと非常に大きな強みになるでしょう。

 

■項数を削減する計算テクニック②:「辺々引く」

部分分数分解と並び、工数を削減する計算テクニックをもう一つ紹介します。これはもはや知っていればできるので、さっそく問題と回答を提示します。

問4 以下の和を計算せよ

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この問題については上記解答の通りで、やり方を覚えておくことが最も重要ですが、この解法は部分分数分解と同類で、項数の多い足し算を少ない項で表現するテクニックだということを理解しておくことも応用上非常に大切なことです。

 

■漸化式も汎用的な解法を一つだけ覚えておく

数列のラスボスと言えば漸化式です。もはや「これが出ても捨てる」と考えている高校生も多いと思いますが、「部分分数分解」「辺々引く」と同様、解法さえ覚えておけば確実に解けるサービス問題と言えます。これを捨てるのは非常にもったいないので、必ず習得すべきです。

問5 以下の条件によって定められる数列の一般項を求めよ

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 漸化式は「辺々引く」と似たテクニックにより変形すると、階差数列の形に持っていくことが可能です。問1、問2を習得した上でこの解法だけ覚えていれば、確実に解くことができるサービス問題です。

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階差数列を習得した上で最初の「辺々引く」テクニックさえ覚えていれば、容易に漸化式の問題が解けるとわかるはずです。もちろんここには「高校数学で登場する数列は等差・等比・階差のいずれか」という前提があります。こういった考え方は本質的でないと言われがちですが、そういったことは数学が得意になってから考えれば十分だと思います。まずは「解ける」ということを目指して学習していきましょう。

 

■覚えることは多いが、覚えておけば解ける

今回はかなりボリュームの多い記事になりました。はじめにお話しした通り、数列の問題は覚えることは多いが、覚えておけば解ける、という分野です。その結果、

  • 何を覚えて、何を覚えないか
  • いかに応用の効く形で覚えておくか

という点を意識するのが数列学習の大きなポイントになります。まずは今回提示した5問の演習を通じて、数列の全体像を理解してもらえれば、定期テスト程度であれば十分に対応可能なレベルに達すると思います。

 

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